技術記事
2025.09.01
技術記事
Katon® 3000 シリーズ低温用 FKM | -40 °C シーリング材

(本記事は翻訳されたものです)

産業がより高効率化、規制の強化、そして過酷な運転環境へと進む中、シール材に求められる性能は急速に進化しています。その中でも特に大きな課題は、極低温下における信頼性の確保です。従来の FKM コンパウンドは低温で柔軟性を失い、十分に性能を発揮できません。

Katon® 3000 シリーズ低温用 FKM は、これらの課題を解決するために設計されました。一般的な低温材料である Viton®-GFLT と同等の性能クラスに位置づけられる本製品は、過酷な条件下でも安定したシールを提供します。TR10 値は -40 °C、さらに 230 °C までの耐熱性を備え、深冷や氷点下の環境においても優れた弾性とシール性を維持し、重要なアプリケーションにおける信頼できるソリューションとなります。

Katon® 3000 シリーズ低温用 FKM

低温用 FKM の性能が重要な理由

エラストマー製シールは応力下でも柔軟性を維持する必要がありますが、実際の使用環境では複数の要因がその限界を試します。例えば、現代の自動車エンジンでは ガソリン直噴 (GDI) 技術が広く採用されています。GDI は燃費向上と排出ガス低減に貢献しますが、燃料噴射圧力の上昇はエラストマーのガラス転移温度 (Tg) を押し上げ、低温下での脆化リスクを高めます。

エラストマーが Tg に近づくと、ゴム状の状態からガラス状へと変化し、弾性と密封性を失います。この脆性状態では圧力に耐えられず、シールが機能しなくなります。過去の事例が示すように、適切な材料を選ばなければ深刻な結果を招く可能性があります。

ここで Katon® 3000 シリーズ が真価を発揮します。低 Tg と -40 °C TR10 により、低温・高圧・攻撃的な媒体が重なる環境でも、弾性とシール性能を維持します。

アプリケーションの利点

自動車
GDI エンジン搭載車向けに、燃料システム、インジェクター、エンジン周辺部品において信頼性の高いシールを提供。耐薬品性と柔軟性により、従来の FKM を超える低温・高圧環境でも耐久性を確保します。

石油・ガス
極地の掘削や海洋開発では、装置が長期間低温環境にさらされます。Katon® 3000 シリーズは、バルブ、ポンプ、コンプレッサー、井口部品で漏れのない性能を発揮し、重要作業のダウンタイムを最小限に抑えます。

航空宇宙
航空機や宇宙機は、地上の極寒から高高度・宇宙空間の極端環境まで、激しい温度変化にさらされます。Katon® 3000 シリーズは、燃料システム、油圧制御、Oリングで信頼できるシール性能を提供し、安全を確保します。

化学プロセス
深冷化学プラントや輸送システムでは、強力な化学薬品と極低温の両方に耐える材料が必要です。Katon® 3000 シリーズは、耐薬品性、低圧縮永久ひずみ、優れた柔軟性を兼ね備え、ガスケットや O リングなどの静的・動的シールに適しています。

バランスの取れた性能と確かな信頼性

低温特性に加え、Katon® 3000 シリーズは FKM の主要な利点も保持しています:

  • 燃料、溶剤、攻撃的な化学媒体に対する優れた耐性

  • 多様な Shore A 硬度オプションによる設計の柔軟性

結論

シール材はしばしば、温度・圧力・流体媒体の複合的な影響を受けます。厳格に設計されたエラストマーのみが、こうした条件下での信頼性を保証できます。-40 °C TR10、バランスの取れた機械的強度、優れた耐薬品性を備えた Katon® 3000 シリーズ低温用 FKM は、最も過酷な環境下で信頼できる密封性を求める産業にとって理想的な選択肢です。